言語と文化の切っても切れない関係

言葉には表面上の意味の他に、「習慣」や「歴史」などの文化的背景があります。

ここでいくつかその例を紹介してみたいと思います。

(1)「元気ですか?」

英語では人に会うときにまず How are you doing? などと言うので、よく日本にいる外国人は日本語で話すときそのまま「元気ですか?」と毎回のように聞いてきますが(これは僕自身も帰国後よく言ってました)、日本語では日常的な挨拶としては違和感がありますよね。

(2)「すみません」

日本人はよく「すみません」と言いますが、これもそのままSorryにしますと英語では不自然な場面もあります。例えばもし何か物を落として誰かが拾ってくれたら、日本語では「すみません」が自然かもしれませんが、英語的にはThank youと言いますね。 

(3) “I love you.”

英語ではこの言葉を友達同士でも使います。その場合は「あなたのことを大切に思ってるよ」みたいな、友情を込めた意味合いですね。でも、日本語では仲間に「愛してる」とは言わないですよね。 

(4)「あなたの血液型は何ですか?」

海外では血液型を聞かれるのは輸血などが必要な時だけのため(血液型性格分類を信じているのは世界で日本と韓国くらいです)、そのまま “What’s your blood type?” と欧米人などに聞いたら、困惑されるかイラっとされるでしょう。

そのため、もしどうしても聞きたいのであれば、 “In Japan, we believe that people’s personalities vary by blood type. So, I’m curious as to what blood type you are. Would you mind telling me?” のように前置きして丁寧に聞く必要があります。

もっとも、外国人は自分の血液型を知らない人が多いので、聞いても分からないと言われるかもしれませんが。

(5) “A and B go together like peanut butter and jelly.”

アメリカではピーナッツバターとジャムを一緒に塗ったサンドイッチ(“peanut butter and jelly sandwich”)を食べる習慣があり、この組み合わせは絶妙とされるため「AとBは合う」と言いたいときにこの表現が使われます。

ですが、アメリカ以外の国ではこのようなサンドイッチはあまり食べないと思いますし、想像してもあまり合う組み合わせと思われないかもしれません。なので、アメリカではこのような食べ物があり、美味しいと思われているということを知らないと、意味が分からない表現ですね。 

(6) 謙遜語

日本語では「愚息」など、へりくだった言い方をすることがありますが、英語ではそこまで謙遜する文化はないので、このような表現は使われません。

 

(7) 差別用語

例えばアフリカ系アメリカ人の成人男性を"boy"と呼んでは絶対にいけません。歴史的な理由があり、軽蔑的であるためです。

差別用語は他にも色々あり、気を付けなければなりません。

 

上記はたくさんあるケースのほんの一部だけです。

では、この言語と文化の密接な関係何を意味するのでしょうか。

・言語はスペルや文法が出来れば良いというものではなく、本当のコミュニケーションには文化や歴史の知識も必要です。

・日本語を使うときは日本の文化の知識も必要であるように、英語を使うときは英語圏の文化の知識が必要です。

・よって、バイリンガルであることは、バイカルチュラルでもあることを意味します。

・言葉をそのまま別の言語に置き換えるだけでは、通用しないことが多いです。

そのため、翻訳するときは「直訳」するだけでは不十分で、常にターゲット言語で言語的および文化的に適切であるかを考えなければなりません。

・このような配慮は文化や歴史の知識が必要なので、人間にしかできません