英語力とは:辞書編

辞書の訳語が不自然な場合

2017年、北朝鮮の英語の声明でトランプ大統領“dotard”(「老いぼれ」)と呼ばれたことが英語圏で話題になりました。それはこの単語は古語であり、現在は使われないどころかネイティブでもほとんど誰も知らない単語であったためです。

このように、辞書に載っているからと言ってその訳語が適切であるとは限りませんし、正しく伝わらないこともあります。

 

日→英の例を挙げますと、「シナを作る」です。

これをある和英辞書で引くと、 be coquettish という英語表現が出てきます。

この表現は確かに意味的には「シナを作る」に相当しますが、実際はあまり使われませんし、もし会話などで使ったら不自然です。

自然な言い回しは to give (someone) a flirty/seductive smile などです。

 

このように、コミュニケーションにおいては単語の意味だけでなく、その単語が実際どれくらい使われるのかどのようなときに使われるのかどのような印象を与えるのかなども考慮しなければなりません。これらの要素は辞書だけでは十分に理解することができず、英語のインプットとアウトプットをたくさん積むことにより分かってくるものです。

 

辞書の訳語が不十分な場合

「猪突猛進」

例えば「猪突猛進」は和英辞書で reckless と訳されていますが、これでは日本語のニュアンスが十分に反映されていなく、訳としてはイマイチですね。本当はもっとぴったりな英語表現があります。

「変化球」

この単語はほとんどの和英辞書で breaking ball と訳されていますが、これははっきり言って間違っています。正しい訳は off-speed pitch です。Breaking ball はスライダーやカーブ系の「曲がる系」の球種(breakとは「曲がる」を意味します)を意味し、他の種類の変化球(「落ちる系」のフォークやチェンジアップなど)は含まれません。

 

こういう面でも辞書は鵜呑みにできません。

辞書の訳語にとらわれず、最も正確で適切な表現を使うことが大切ですね。

 

辞書に訳語がない場合
  • 英→日

例えば It was crickets. という英文の意味を知りたくて cricket の意味を辞書で調べても、この文脈での意味(「沈黙」)は出てこないでしょう。

他にも “weigh… soaking wet”“kick away” などの表現も辞書には載っていないので、理解するには辞書以上の知識が必要です。 

  • 日→英

例えば「(ピアノで)ドからレまで届きます」と英語で言いたくても、辞書では言い方は見つからないと思います。

他にも「朝活」「(ネットで)炎上」などの新語を含め、和英辞書には載っていない言葉が多くあります。これらを英語で表現するには自ら訳語を見つける・考える必要があるため、英語力が試されます。

 

このように、辞書ではカバーされていない表現もたくさんあるので、そのような表現を正確に理解・英訳する能力も英語力の一部と言えるでしょう。