国際校ライフ② 「+/-」

では国際校で「多国籍組」に入ることなどにより、海外で「国際的」な育ち方をすると、どのような影響があり得るのでしょうか。

 

プラス面

1. 語学力が上達する。バイリンガルになれる可能性もある。

2. 話せる言語が増えれば、交流できる相手の幅も広がる。

3. 言葉の面白さや奥深さを味わうことができる。

4. 他の文化の知識も身に付くので、バイカルチュラルにもなれる。

5. 色んな国や文化の人と接するうちに、異文化理解力も鍛えられる。世界には色んな生き方や、様々な常識があることを実感できる。

6. 寛容さも身に付く。人種だけでなく、色んな面でもっとopen-mindedになれる。

7. 色んな環境に適応できるようになる。

8. 色んな国の人と仲良くできるようになる。世界中に友達や知り合いができる。

9. バイリンガル・バイカルチュラルになると、各言語・文化のものが楽しめるので、「楽しみの引き出し」が増える。

10. 語学力が求められる職種(翻訳・通訳など)や、文化の架け橋になるような仕事には有利になる。

11. グローバルに考えるようになるので、国際感覚や広い視野が身に付く。

12. グローバルな視点から文化を比較したり、日本を客観的に見ることができる(良いところも、良くないところも)。

13. 先入観やステレオタイプはあまり意味がないことを学ぶことができる。

14. 人を人種別ではなく、一人ひとりの「個人」として見るようになる。

15. アイデンティティー的にどこにも属さないため、自由に自分を re-inventする (作り直す)ことができる。

 

マイナス面

1. 日本語のレベルが落ちる。また、英語脳になると、日本語で思うように表現できないこともある(英語で言いたいことが分かっていても、日本語では適切な表現がすぐに見つからない、あるいは存在しない)。帰国すると、英語を使いたいのにあまり使う機会がない。

2. 日本の文化に疎くなったり、考え方や価値観も「日本人らしく」なくなったりするため、日本に帰国するとなかなか生活に馴染めず、逆カルチャーショックを受ける(いわゆる浦島太郎化)。行動が理解できない、波長が合わない、価値観が異なる、笑うツボが違うなど、日常的に戸惑う。文化の違いなどにより、知らずに失礼なことを言ってしまうかもしれない。

3. 逆に日本の人からすれば「この人は日本人なのに~~」と相手も戸惑い、「日本人ではない」と思われ、余所者扱いされる。

4. 自己紹介する度に「うらやましい」「すごい」「別の世界の人みたい」などと言われる。悪意はないと分かっていても、ただ「普通に扱ってほしい」というのが本音なので疲れる。

5. 海外に行けば日本人扱いされるので、どこにいても outsider. そのため、「自分はどこの人なのか?」という identity crisis が生じる。

6. 「ホーム」がない「ホームシック」になる。日本に来た外国人がホームシックになったら母国に帰れば良いことだが、そのように「戻れる場所」がない。

7. 同じ境遇の人は少ないので、あまり理解・共感してもらえない。サポートが得られるグループとかもない。

8. 家族で唯一自分だけが国際化していると、家族とも価値観や文化が異なるのでお互い理解しづらくなる。言語面でも、得意な言語が異なるので十分に意思疎通できない可能性もある。

9. 孤独感、不安感、葛藤など、メンタル面で苦労する。

10. 海外の人種的多様性の高い環境に慣れていると、日本の同質的社会に戻るとそれも結構ショック。

11. 海外に戻りたいと思っても、国籍は日本なので簡単には移住できない。

12. 世間の帰国子女に対するイメージと現実のギャップを感じる。

13. せっかく英語力を鍛えてネイティブレベルになっても、日本では日本人である以上ネイティブレベルと認められないことが多いので、語学力を生かせない。

(&英語が「すごいレベル」と感心されることが多いのに、同時に「ネイティブには全然及ばないレベル」と判断されるという矛盾。)

14. 日本人の友達や知り合いはあまりできない。

15. 日本人のコネや日本人的な感覚に欠けていると、日本での就職活動は厳しい。日本の会社は国際感覚をあまり評価しない。

 

解説

・経験は人それぞれ

上記は「起こり得ること」で、もちろん全てが起きるとは限りません。

海外生活での経験は人それぞれです。

(僕自身は「国際派」のかなり極端な例だったと思います。)

 

・「正しい」選択肢はない

国際校で日本人組に入れば、日本の環境に近いため溶け込みやすいかもしれないですし、英語力はあまり伸びないとしても日本語や日本の文化を忘れません。中身が日本人のままになるので、日本に帰ったときも逆カルチャーショックなどもなくスムーズに移行できるでしょうし、日本の大学への進学や就職活動においてもメリットがあると言えます。

 

多国籍組に入れば、言語や文化面で「国際化」され、「日本人らしさ」を様々な度合いで失うことになるでしょう。「国際人」に育つことで、得るものもあれば、失うものもあると思います。

 

僕自身は後者を選び、今も後悔はありませんが、それはあくまでも僕個人の選択ですし、日本人組を選ぶ人が間違っていると言うつもりはありません。日本人組に入るか多国籍組に入るかは個人の自由だと思います。どちらの道にもメリットがありますし、ただ違う育ち方をしただけです。

 

・よりバランス良く

また、このように二極化するのではなく、もっとバランスの取れた育ち方もできるかもしれません。

例えば僕とほぼ同じ時期に海外移住されたBilingirl Chikaさんは、国際校でなく現地校に入られたと思いますが、明らかに僕よりもバイリンガルでバイカルチュラルだと思います。「日本人らしさ」を失わずに国際感覚を得ることも可能なのかもしれません。

僕ももし子供の頃もっと日本の文化に触れることや日本人組に歩み寄ることに努力していれば、あるいはそもそも生徒が二つのグループに分かれていなければ、この二つの育ち方をもっとうまく両立できていたかもしれません。